旧住友家俣野別邸 外観
佐藤秀三 設計施工の

旧住友家俣野別邸


国の重要文化財指定


昭和14年(1939年)、当社創業者佐藤秀三が設計施工した旧住友家俣野別邸が、4月16日に行われた国の文化審議会の答申により、重要文化財に指定されることになりました。(*1)

旧住友家俣野別邸は、第16代住友吉左衞門様のご注文により、横浜市戸塚区東俣野町の緑豊かな敷地に建築されたもので、平成10年頃までご家族がお住まいになりました。木造2階建て(一部平屋建て)、建築面積約450㎡の建物は、居間や書斎、寝室などのある母屋棟、子供室棟、台所や使用人部屋などのあるサービス棟の3棟で構成されています。建築の様式は、柱、梁、筋交いなどを外部に露出させ、その間をモルタルや煉瓦で埋めるハーフティンバースタイル(中世以降のヨーロッパ北部で見られる様式)に伝統的な和風様式を融合したもので、昭和初期のモダニズムの雰囲気を感じさせる洗練されたデザインです。

佐藤秀三は、これに先立つ昭和12年(1937年)、同じく住友様のご注文により、那須別邸を設計施工しています。規模こそ俣野別邸には及びませんが、この建物も和洋の様式を一体化した別荘建築の秀作として各方面からご評価頂いています。これら住友家の建築に携わる機会に恵まれたことは、佐藤秀三が独自の建築スタイルを確立し、また設計施工会社佐藤秀工務店の地歩を固める上で計り知れぬ大きな意味を持つものでした。

生前、佐藤秀三は、建築家としての名声に固執せず、自らの建築を写真集にすることすら拒みました。昭和の建築史に埋もれ、知る人ぞ知る存在になりかけていた感のある同人の業績をこのように再評価頂けたことは誠に光栄であり、感謝に堪えません。関係各位に心より御礼申し上げます。

なお、今回、重要文化財の指定を受ける建造物は、出雲大社社殿建築群(島根県大社町)、萬代橋(新潟市)、旧第九十銀行本店本館(盛岡市)を含む10件とのことです。

(*1)平成16年(2004年)7月6日、正式に指定されました(同日付「官報」にて告示)。


    Photo : BAUHAUS NEO

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(公開日 2004.05.24)
(更新日 2004.08.17)
※このニュース記事は公開日現在の情報です。

 

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