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1929(昭和四)年。この年、のちに日本の現代建築界に貴重な業績を残す巨匠・村野藤吾が、新進気鋭の建築家として、大阪で華々しく独立を果たしました。
同じ年、東京赤羽の借家に、製図板一枚を据えて設計・施工の請負会社を開業したひとりの建築家がいました。彼の名は「佐藤秀三」…。のちに日光プリンスホテルや各界の著名人の邸宅などを手掛け、本格木造建築の大家となる人物です。
伝統的棟梁が、設計・施工一貫の建設会社を興して成功した例は枚挙にいとまがありませんが、建築家が、建築の理想を追究して自ら施工会社を興した例はほかにありません。
この佐藤秀三とは、いったいどのような人物であり、どのような建築作品をこの世に残したのでしょうか。建築家が前面に出ることを断固として嫌った寡黙な彼の実像は、今までまったくベールに包まれていました。
現代建築史における伝説の建築家「佐藤秀三」の世界の封印が、今ここに解かれます…。
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